「デザインは良いけど、使いにく」
よく聞くこの言葉。多くの人にとって、デザインはプロダクトやグラフィック、ファッションの「見た目」のかっこよさやかわいさを意味しているかもしれません。デザイナーと聞くと、絵が上手い人と考える人も多いのではないのでしょうか?
しかし、デザインは単におしゃれなプロダクトやグラフィックを作ることだけではありません。デザインは、問題解決やコミュニケーションの手段として、様々な領域で重要な役割を果たしています。UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインやサービスデザインという言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。
そして近年では、美術大学や芸術大学に限らず、デザインの幅広い意味と役割を活かすため、様々な分野の大学で「デザイン」を学ぶことができます。特に、海外の大学では早くから、広義の意味でのデザインを学びたい人に向け、さまざまなバックグランドを持つ学生をデザイン学部に受け入れてきました。
この記事では、「広義のデザインはどんな分野があるのか?」「海外の大学でどのような学科があるのか?」「デザイン未経験からどんな準備をすればデザイン留学できるのか?」について紹介します。
この記事のまとめ
- デザインはグラフィックやプロダクトなど、造形や表現だけでない。体験やシステムなどより良いものをつくるための活動として適用される概念。
- 海外の多くの大学で、デザインバックグランドを持たない学生がデザインを学んでいる
- とはいえ、デザインはコミュニケーション(伝える)能力が求められる。最低限のデザイン原則、手法、知識、表現を知っておこう
広義のデザインとは?
単にプロダクトやグラフィックのデザインにとどまらず、さまざまな領域での問題解決や創造的な活動に適用される概念です。例えば…
- エクスペリエンスデザイン(UX): エクスペリエンスデザインは、ユーザーが製品やサービスを通じて得る体験を設計する手法です。エクスペリエンスデザインは、感情、意義、満足度などの要素を考慮し、ユーザーがより良い体験を得ることを目指します。これには、ウェブサイトやアプリのユーザーインターフェース設計やイベントの体験設計が含まれます。
- システムデザイン: システムデザインは、複雑な問題や課題を包括的に捉え、相互に関連する要素やプロセスを組み合わせて設計するアプローチです。システムデザインは、社会システムやビジネスプロセスの改善、都市計画や交通システムの設計、環境問題の解決などに適用されます。
- サービスデザイン: サービスデザインは、ユーザーが利用するサービス全体の体験を設計する手法です。サービスデザインは、ユーザーのニーズや要求に応えるために、サービスのプロセス、インタラクション、フロー、コミュニケーションなどを考慮して設計します。具体的な例としては、銀行のサービス改善や公共サービスの再設計があります。
国内においても、広義のデザインに対する認知や活用が進んでいます。

こうした分野では、従来のデザイン分野に求められ表現力や造形力だけでなく、構想や観察(リサーチ)、マネジメント、コミュニケーションなど多様な能力が求められます。つまり、表現や造形のデザイン経験がなくても、あなたの経歴を活かしたデザイン活動を専門にすることができます。
海外大学の多様なデザインコース
広義のデザインを学ぶことができるコースを紹介します。
ロイヤルカレッジオブアート サービスデザイン(イギリス・大学院)
ロンドン芸術大学 サービスデザイン(イギリス・大学院)
パーソンズ美術大学 TRANS-DISCIPLINARY(アメリカ・大学院)
ミラノ工科大学 プロダクトサービスシステムデザイン(イタリア・大学院)
デザイン未経験者のデザイン留学準備
広義のデザインといえども、デザインはデザイン。「表現」つまり、図や文字を介したコミュニケーション能力が求められます。
知識
まずは、デザインの基本原則や要素、配色の基礎など、デザインにおける基本的な知識を身につけましょう。
そして、デザイン思考など、デザインの手法やプロセスについて学ぶことも重要です。ユーザーインタビューやユーザーリサーチ、ワイヤーフレームやプロトタイプの作成など、デザインの各ステップについて勉強しましょう。
ツール
最低限、デジタルツールが使えることも必要となります。例えば…
ポートフォリオ
デザイン留学をしながら、ツールや知識を身につけていくことができますが、最低限の知識やツールをもって、ポートフォリオを作成する必要があります。
デザイン未経験者にとっては困難なものと感じるかもしれません。しかし、志望するコースとの関連性を明確に示すことで、ポートフォリをを作ることができます。
- 制作物の作成:もし制作物がない場合でも、自ら課題を見つけて何かを制作しましょう。制作物は必ずしも物体である必要はありません。文章、写真、映像、音楽など、どんな形でも構いません。例えば、所属する会社や業界の課題をテーマに、観察や調査、解決策の提案をする。地域の困りごとの解決策をシミュレーションなどです。テーマが見つからない人は、勝手にアプリやwebサイトのデザインをしてみても良いです。Daily UIといった日々UIトレースを行う活動もあります。
- 5W1Hを明確にする:制作物に関して「何を、なぜ、いつ、どこで、誰と、どのようにして制作したのか」という要素を短くまとめましょう。
- 多様なバックグラウンド:デザイン学部では、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が入学しています。自身のポートフォリオを通じて、バックグランドとコースの関連性を明示しましょう。
以上、
デザイン未経験でもあなたの能力を活かせるデザイン能力があります。まずはさまざまなデザイン領域をしり、自分の興味関心と照らし合わせましょう!